あれから1週間、瀬名くんとはひと言も口を聞いていない。前後の席なのに、だ。私の発言に問題があったんだろうけど、それがどうして瀬名くんの冷たい態度に繋がるのかがずっと分からなかった。
莉世と2人で重いものを運んでいるとき、瀬名くんと目が合った。もしかしたらまた手伝ってくれるかも、ってちょっとだけ期待したけど、すぐに目をそらされてしまって、肩を落とす。手に持ったクラス全員分のノートが、急に重くなった気がした。
「笑蒔、大丈夫?」
「うん…。」
でも、それどころが瀬名くんは私にどんどんキツく当たるようになっていった。プリントを回すとき、私が取りづらいように渡してくるとか、それぐらいならまだ良かった。廊下を歩いていたらわざとぶつかられたり、莉世に私の陰口を言ったりしているのを知ったときは、悲しくて泣きそうになった。
でも不思議と瀬名くんを嫌いにはならなくて、ただ、その態度をとるわけが知りたかった。
─だから私は、真宮くんを呼び出した。
「嵩寺さん、どうしたの?」
「急に、ごめんね。実はね、瀬名くんのことなんだけど…」
「うんうん、やっぱりね」
やっぱり、って、まるで私が相談するのを予想してたみたいな言い方をする真宮くんに、なぜだか肩が震える。
「ごめん、実は全部知ってた。嵩寺さん、樹のこと好きなんだよね?」
「…言うつもりなんて、なかったの。でも私ドジだから、バレちゃってね…。瀬名くんが私にこんな態度とるのって、やっぱり、彼女さんがいるのに失礼なこと言ったからなのかな…?真宮くんが知ってる範囲でいいから、教えてほしいんだ。私、このままは嫌。なにか理由があるなら、ちゃんと謝りたいの。」
俯いたまま早口で言ってしまったことを後悔しながら顔を上げたら、真宮くんが目を丸くしていた。もしかして私、またなにか気に触るようなことを言っちゃったのかな…。自分が言ったことを頭の中で思い返していると、真宮くんが先に口を開いた。
「樹に、彼女はいないよ」
ふっと目元を和らげた真宮くんが、私の頭に手を置いた。
「多分、誰かが樹の姉ちゃんのこと見て勘違いしたんじゃないかなぁ。」
「で、でも、じゃあなんで瀬名くんはあんな顔…。」
瀬名くんに彼女がいないんだとしたら、ますます疑問が残るばかり。
なのに、
──なのに安心してしまったのは、なんでだろう──
莉世と2人で重いものを運んでいるとき、瀬名くんと目が合った。もしかしたらまた手伝ってくれるかも、ってちょっとだけ期待したけど、すぐに目をそらされてしまって、肩を落とす。手に持ったクラス全員分のノートが、急に重くなった気がした。
「笑蒔、大丈夫?」
「うん…。」
でも、それどころが瀬名くんは私にどんどんキツく当たるようになっていった。プリントを回すとき、私が取りづらいように渡してくるとか、それぐらいならまだ良かった。廊下を歩いていたらわざとぶつかられたり、莉世に私の陰口を言ったりしているのを知ったときは、悲しくて泣きそうになった。
でも不思議と瀬名くんを嫌いにはならなくて、ただ、その態度をとるわけが知りたかった。
─だから私は、真宮くんを呼び出した。
「嵩寺さん、どうしたの?」
「急に、ごめんね。実はね、瀬名くんのことなんだけど…」
「うんうん、やっぱりね」
やっぱり、って、まるで私が相談するのを予想してたみたいな言い方をする真宮くんに、なぜだか肩が震える。
「ごめん、実は全部知ってた。嵩寺さん、樹のこと好きなんだよね?」
「…言うつもりなんて、なかったの。でも私ドジだから、バレちゃってね…。瀬名くんが私にこんな態度とるのって、やっぱり、彼女さんがいるのに失礼なこと言ったからなのかな…?真宮くんが知ってる範囲でいいから、教えてほしいんだ。私、このままは嫌。なにか理由があるなら、ちゃんと謝りたいの。」
俯いたまま早口で言ってしまったことを後悔しながら顔を上げたら、真宮くんが目を丸くしていた。もしかして私、またなにか気に触るようなことを言っちゃったのかな…。自分が言ったことを頭の中で思い返していると、真宮くんが先に口を開いた。
「樹に、彼女はいないよ」
ふっと目元を和らげた真宮くんが、私の頭に手を置いた。
「多分、誰かが樹の姉ちゃんのこと見て勘違いしたんじゃないかなぁ。」
「で、でも、じゃあなんで瀬名くんはあんな顔…。」
瀬名くんに彼女がいないんだとしたら、ますます疑問が残るばかり。
なのに、
──なのに安心してしまったのは、なんでだろう──
