僕らは運命の意味を探していた。

 退出した後、三人に大爆笑されたのはいい思い出である。

 「君たち、ちょっと待ってくれないかね。」

 病院一階の廊下で奥の方からやって来た、恰幅が良く白衣を着たおじさんに話しかけられた。

「何でしょうか?」

来海が咄嗟に対応した。

「このアカウントの持ち主がこの中にいると思ったんだが、いないかな?」

「それは、俺のですね。」

「おお。本当かね、それは。」

「はい。で、それがどうかしたんですか?」

 引き気味の来海は、おじさんに聞き返すと、どうしてかおじさんの表情が一層明るくなった。

「君だったのか、この情報を流してくれたのは。本当にありがとう‼」

 おじさんは無理やりに俺の右手を取り、握手に似た上下の運動をしていた。

「君のお陰でな、私の息子の異変に気付けたんだ。このお礼はさせてくれ。」

 おじさんは、今にも涙を流しそうな勢いで俺に言った。どうやらこの病院の偉いさんだったようで、周りには数人の傍付きがいた。

「院長先生、そろそろお時間です。」

 傍付きの秘書から、そう小声で知らされていた。院長先生と呼ばれているそのおじさんは、秘書の助言に従い立ち去る素振りを見せた。

「分かった。じゃあ、君たちにこれを渡しておくから、何か困ったことがあったら連絡してくれ。私も忙しいからね、電話に出られないかもしれないけど、君たちの力になるつもりでいるよ。」

 おじさんは、そう言って微笑みながら、病院の奥に消えていった。残された俺らは、手渡されたその紙の重みにすでに気付いた。

「どうするの、それ?」

「ん……。使い時が来たら、だな。」

 まあ、普通そうか。

 よく来る病院だけど、初対面の院長先生の連絡先を教えてもらっても、こっち側としては困るだけだもんな。

 あの人に善意があった事は間違いないだろうけど、正直使いどころに困るよな・・・・・・。