その光景を目の当たりにした僕ら全員は、足がすくんで動かなかった。あれだけ息巻いていた僕自身も、膝が笑っている。死への恐怖心は全員が共通に持ち合わせているものなのだと、再確認できた。
「真道くんが言ったように、心に隙を作った人間は、一律で飲み込まれるから。あと、君たち気付いてないと思うけど・・・・・・。」
気付いてない? まだ何か仕掛けがあるのか?
不安な気持ちが大きくなっていく。もう他の感情なんか気にならない程に、膨れ上がっていた。
「時間制限があることを忘れているわけじゃないよな。」
「時間制限? 何のことだ?」
「そのままの意味だよ。君たちは、水を飲まなければ水を飲まなければ、どうなるのかな。」
「そりゃ、死ぬだろう。脱水症状とかで。」
誘導的に僕はそう返したが、僕にはこの話の先が、全く見えないでいた。
「ああ、言っておくが、君たちは現実世界の君たちじゃないから。」
「何言ってんだよ。この体は、正真正銘僕の体だ。」
そういった僕だったが、そいつの言っていることが、どこか腑に落ちている自分がいた。
「真道君もさ、心の中では分かってるようじゃないか。」
全てを見透かされている事が、僕の中の気持ち悪さが増幅させていた。
「君たちが本物の体じゃなければ、君たちの本物は他の場所にあって、それが放置されたままだとどうなる?」
血の気が引いて行くのが分かる。なぜこんな大事な議論をしなかったのか不思議なくらいの死活問題だった。
「脱水症状で死に至る……。」
呟きほどの大きさで言った。
いつかにネットの記事で目にしたことがあって、人間が水を飲まずに生きられるのは、約四日から五日らしい。それを過ぎれば脱水症状でお陀仏だそうだ。
「……くっそ。だから一人暮らしのメンバーを集めたんだ。」
「ああ。そういう事。やはり君は勘がいい。俺を楽しませてくれそうだな。」
いじめっ子とか、子供とか、そんなレベルの笑い声じゃない。狂気的で血も涙もない本息の殺人鬼の表情のようだった。
顔は判別できないが、そんな表情を浮かべてるような気がした。
「それじゃあな。せいぜい俺をドキドキさせろよ。……はははっ。」
ゲームマスターを名乗る黒い物体は一瞬にして消失した。消滅すると共に、嘲笑うかのような高笑いと、地の底に突き落とす絶望を同時に運んできた。
「おいっ、勝手に……。」
もう手遅れだった。
「真道くんが言ったように、心に隙を作った人間は、一律で飲み込まれるから。あと、君たち気付いてないと思うけど・・・・・・。」
気付いてない? まだ何か仕掛けがあるのか?
不安な気持ちが大きくなっていく。もう他の感情なんか気にならない程に、膨れ上がっていた。
「時間制限があることを忘れているわけじゃないよな。」
「時間制限? 何のことだ?」
「そのままの意味だよ。君たちは、水を飲まなければ水を飲まなければ、どうなるのかな。」
「そりゃ、死ぬだろう。脱水症状とかで。」
誘導的に僕はそう返したが、僕にはこの話の先が、全く見えないでいた。
「ああ、言っておくが、君たちは現実世界の君たちじゃないから。」
「何言ってんだよ。この体は、正真正銘僕の体だ。」
そういった僕だったが、そいつの言っていることが、どこか腑に落ちている自分がいた。
「真道君もさ、心の中では分かってるようじゃないか。」
全てを見透かされている事が、僕の中の気持ち悪さが増幅させていた。
「君たちが本物の体じゃなければ、君たちの本物は他の場所にあって、それが放置されたままだとどうなる?」
血の気が引いて行くのが分かる。なぜこんな大事な議論をしなかったのか不思議なくらいの死活問題だった。
「脱水症状で死に至る……。」
呟きほどの大きさで言った。
いつかにネットの記事で目にしたことがあって、人間が水を飲まずに生きられるのは、約四日から五日らしい。それを過ぎれば脱水症状でお陀仏だそうだ。
「……くっそ。だから一人暮らしのメンバーを集めたんだ。」
「ああ。そういう事。やはり君は勘がいい。俺を楽しませてくれそうだな。」
いじめっ子とか、子供とか、そんなレベルの笑い声じゃない。狂気的で血も涙もない本息の殺人鬼の表情のようだった。
顔は判別できないが、そんな表情を浮かべてるような気がした。
「それじゃあな。せいぜい俺をドキドキさせろよ。……はははっ。」
ゲームマスターを名乗る黒い物体は一瞬にして消失した。消滅すると共に、嘲笑うかのような高笑いと、地の底に突き落とす絶望を同時に運んできた。
「おいっ、勝手に……。」
もう手遅れだった。
