僕らは運命の意味を探していた。

 駅から少し離れていることもあって、周りにはコンビニやスーパーなどのお店や住宅街の姿は無かった。

 看板に、『木漏れ日の森』という安い宣伝文句が書かれていて、森林の入り口にそれが立っていた。

「あっ、くーちゃん。こっちこっち‼」

 金色に染まった、際どい位置までワイシャツのボタンを開けた、漫画の世界のギャルそのまんまの女子が、来海に手を振っていた。

「奏ちゃん、久しぶりだね。元気してた?」

「もちー。テンション高めだよー。」

 俺は、仲睦まじく話す二人を眺めていた。

 久々の再会とはこういうものだと、手本のような光景を繰り広げていた。

 もしかしたらあいつらが戻ってきたら、こんな風に出来るのかな。

そんな変な想像をしてしまった。

「おいおい、どうした。お前らしくもない。」

 一好は冗談のように、軽い感じで俺の肩を叩いた。そして俺らは、いつものノリに発展していった。

「一好……。いつからいた?」

「ずっと、奏と待ってたわ‼ 頼むから気づいてくれよ。」

「えっ、そうだったっけ? 影薄いから分からなかったわ。」

「嘘つけ‼ こんな目つきの悪いやつが、影薄訳ないだろ。」

「自虐してるんだけどー。」

「うわー、自虐してるー‼」

 俺と奏さんは、一好の顔を指差しながら笑っていた。

 一好は嬉しそうに、『ちょ、やめろよ。』とベタな返しをしていた。

 しかし俺の笑みは長くは続かなかった。

 心のどこかで、笑みを押さえようとするもう一人の自分がいるような気がして、少し気分が落ち着いてしまった。