僕らは運命の意味を探していた。

 去っていく来海の背中を見ながら、彼女が抱える気持ちを想像していた。

 俺と一緒、なんて感情を比較するのは違うのかもしれないけど、来海は俺より四人の空間を楽しんでいたという印象が強かった。

 周りからでも、来海が「一生の友達はこいつらだ。」と、本音が漏れ聞こえるような関わり方をしていたように、俺の目には映った。

 親友は、いつ俺らの前から消えるのか分からない。

 俺らは今、なにが出来るだろう。

 俺は家路を歩きながら、現実味の無い事ばかりを考えていた。

 それは、直接的にあいつらを目覚めさせることは不可能だと、俺は理解していたからだ。

 俺は参加できない無力感に打ちひしがれていた。

 翌日、久々の曇天模様となって、比較的過ごしやすい日を迎えていた。

「昨日の今日で、よく休めたな。」

「元々、休みだっただけよ。あの子たちの事は心配だけど、さすがにそれでは休めないわ。」

 嘘つけ。

 昨日の夜、今日のために徹夜して宿題を終わらせてきたくせに。

 ファンデーションで、目元のクマを消そうとしたみたいだけど、隠し切れなかったのが、もろバレだぞ……。

「はいはい、無理もたいがいにしとけよ。」
「だから、何も無理してないだってば……。」

 どうしても『無理をした』という事実を認めたくないらしい。

 恐らく、来海の中にあるプライドが許さないのだろう。

 自他が認める優等生だからなおの事、来海には難しかったのだと、俺は思った。

「それで奏さん、だっけか。どうだったって?」

「うん、命に別状はなかったってさ。聞いた感じだと、私たちと全く一緒ね。」

 奏さん。俺らと同い年の高校生、来海とは部活の試合で何度も顔を合わせていた事がきっかけで仲良くなったらしい。

 容姿や性格は、来海から聞いた情報のみで、会うのはこれが初めてだ。
 
「そっちは? 一好君、何だって?」

 一好。こいつも俺らと同い年。集団塾の教室が一緒で、そこから仲良くなった。

「一好の方も、俺らとおんなじ感じだってよ。」

 四人の、しかも俺らの周りだけで、なぜこうも奇妙な現象が頻発しているのだろう。

 聞く感じでは、共通点は全く無い。何が原因でこんな怪奇現象が起こっているのか、俺には見当もつかなかった。

「とりあえず、情報交換をする必要がありそうだな。」

 彼らの手助けになるような情報が、是が非でも欲しかった。

 医者ですら初見で、探り探りの状態。そんな絶望的な状況を、打開するような方法がないか探したかった。

 だから直前に、何か不自然な出来事とか違和感に思った事とか、どんな些細な事でも引っ掛かりがあったら教えて欲しいのだ。

 徒歩数分の距離を、適当な雑談を交わしながら進んでいく。