僕らは運命の意味を探していた。

「全部記憶が戻ってる………………。」

 朝一番に僕は衝撃を受けた。

 なぜだかは分からないが、所々に開いていたピースが、すべてはまったようだった。覆い被さっていた靄も、跡形もなくなっている。

 しかし同時に、僕から明るく報告する気持ちも、どこかに失われてしまったようだった。

「おはよう、マー君。」

「ああ……、おはよう……。」

 これが僕の限界発声量だった。

 いつもなら気怠いのを多少我慢して、明るめのトーンで返答するのだが、僕はそんな心の余裕を持っていなかった。

「どうしたの?」

 不安げな表情を見せて、あきは僕の俯いた顔を覗き込んだ。

「全部……思い出したんだ。僕があんな事言わなかったら、アツは死ななくて済んだのに……僕のせいで……。」

 僕は記憶の全てを取り戻した。

 あの時、あの場所で、あんな事を起こさなければ良かったのにと、心の底から思っている。なぜなら、一つの尊い生命が無くならずに済んだのだから。

「違うよ。あれは君のせいじゃない。敦君が昔向けたいじめが原因だったの。だから、君のせいじゃない。」

 あきはそうやって僕を励ましてくれる。気持ちが落ち込まないように、十分配慮しながら優しい言葉を掛けてくれていた。