「でもさ、危険な事には変わりないんじゃないの? その点、誰が命がけの行動を取るわけ? まさか無責任な事言わないよね?」

 嫌み混じりの反論に、僕の胸一杯にどんよりとした空気が漂った。

 しかし友花の意見は最もで、初めての環境に身を投じることの危険性は極めて高い。しかも昼と夜ではリスクが雲泥の差。

 六日の活動で環境にも順応してきた僕らも、何が起きるか想像すら出来なかった。

「もちろん、初めは僕が行くよ。それで安全性を確認してくる。それなら文句ないな。」

 僕は少し喧嘩腰で言った。友花はその問いに、上からモノを言うのだった。

「ええ。無事に帰ってきてくれれば、何の問題も無いもの。帰ってきたら詳しくお話を聞かせて頂戴ね。」

 友花は言い終わると挑発的な目線を向けてきた。恐らく僕の提案が気に食わなかったのだろう。

 僕は司令官に同伴を依頼した。

 司令官は即座にオッケーサインを出して、二人夜闇の中に向かって歩いて行った。

 僕は校舎から出る際、見送りに来てくれた紗南とあきに言った。

「まあ、とりあえず、女子三人ここで待機してくれ。万が一の事が有ったらすぐ連絡するから。よろしくな。」

「ああ。こっちは任せといて。気を付けてよ、二人とも。」

「分かってるって。じゃあな。」

「本当に気を付けてよ、マー君、司令官さん。」

 二人の見送りの声が夜の教室にこだました。

 外は気温も下がっていて、夜風が過ごしやすさを演出していた。

 昇降口の階段を下りて、二人は夜空を見上げた。雲一つない真っ黒な空に、埋め尽くすほどの星々が輝いている。

 いつもと変わらない光景だが、今日はその星々がどこか違う輝きを放っているように見えた。