僕らは運命の意味を探していた。

 残された僕らは、ベンチに腰掛けながら話をした。

「ありがとな。」

「え? 何が?」

「気、使ってくれてたんだろ。ずっとベンチに座ってさ。」

 僕ら三人が、感慨深い気持ちに浸っている最中、あきは一人でベンチに腰掛け、退屈そうに風景を眺めていた。

「気づいてたんだね。絶対私の事なんか見てないと思ってた。」

「そんな訳無いだろ。ずっと君の事は見てきたつもりだよ。」

「ほんとかな、それ。」

「何で疑ってんだよ。ほんとに決まってんだろ。」

「だって全然、私の気持ちに気付いてくれなかったじゃん。」

 彼女の目は疑いだけでは無くなくて、どこか悲壮感が漂っているように、僕には見えた。

「……気づいてたさ。」

「じゃあ、何で……何で私に気持ちを伝えてくれないの? ずっと待ってたのに……。」

 そこで『じゃあ、あきから言ってくれよ。』なんて発言が、僕には出来そうになかった。

 全てが言い訳ににしかならないような気が、僕にはしたからだった。

「ごめんな。勇気も無くて意気地なしで、最低な幼馴染で。こんな僕だからさ、ずっと自信が持てなかったんだ。」

 君はいつも、こんな僕に付いてきてくれているけど、僕はずっと申し訳なく思ってたんだ。

 僕はそう思いながら、自信なさげな声であきに言った。

「コミュ障で、友達少なくて、頼りなくて、いつも励まされてばかりで、根暗で、愛想悪くて。しかもこの一年、君はいつも諦めず話しかけてくれるけど、自分の感情優先で、心ない言葉を掛けてしまって、あの世界で辛い想いをさせて。そんな奴に気持なんか伝えられたら、迷惑だろうってずっと思ってた。」

 僕は目を合わせられなかった。自虐の羅列に、流石のあきも引いてしまうのではないかって、怖くなった自分がいた。

 しかしあきは、僕の予想と反して、彼女は簡潔に言った。



  君は君だよ。




 僕は、堪えきれずに涙をこぼした。

 最愛の人に、こんな姿を晒してしまうなんて、情けないはずなのに、どうしてか大粒の涙が止まらなかった。

「君はこんな僕でも……許してくれるのか……?」

 僕は顔を下げて、膝に落ちる涙を見続けながら、そう言った。

 彼女はそんな情けない僕に、優しい声色で言った。

「言ったでしょ。君は君だって。根暗でも、愛想悪くても、そんなに気にならないよ。迷惑なんて、人同士なんだから掛け合うものだし。」

「でも、そんなレベルの話じゃないでしょ……。特にここ一年とか。」

「そりゃ、最近のマー君には少し驚いてたけど……。」

 あきは、申し訳なさそうにそう言った。

 やはり、あきも迷惑に感じていたようだ。

 昔から関係がある幼馴染というだけで、そんな面倒事を背負わせるのは、罪が重過ぎる。僕は反省の必要性を痛感した。