僕らは運命の意味を探していた。

 隼人は唐突に僕ら四人を呼ぶと、炎天下の外に誘導した。

「こっちに何があるんだよ。」

「まあ、見てなって。」

 彼の顔は、少し高揚しているように見えた。どうやら訳アリのようだ。

「ここに見覚えねえか?」

「…………あるよ。」

 そこには、あの倒壊寸前の神社があった。見慣れた光景に、懐かしさすら芽生えてくる。

 確かに、あの世界の神社に比べると、赤い色は剝がれていて、木材も相当傷んでいた。

 しかし、面影はそのままくっきりと残っていた。

「てことは……。」

「ああ。この階段を上がっていけば、真道の予想通りの場所があるぞ。」

 隼人のその言葉を聞いて、僕は駆け出した。

 幼少期の記憶は皆無だけれど、最近そこで過ごした思い出なら、沢山僕の記憶フォルダーに保存されている。

 あの光景が見られるのなら、早く見せて欲しい。

 美しかったあの世界をもう一度、この目に焼き付けたかった。

「……ダムが邪魔だな。」

「ああ。俺がここに来た時も思ったよ。」

 僕の独り言のような言葉に、隼人が反応した。

 僕の目下には、壮大な景色が広がっていた。

 のどかな田園風景に、自然と一体化した家屋。その風景を見て、僕の心は洗われていくような気がした。

 しかし目と鼻の先に、主役のように鎮座する十六夜ダムがあった。

 僕の求める自然はその周りに、脇役のようにして虐げられていた。僕は、はっきりと邪魔だと思った。

 これが今の僕らの故郷の全貌だった。

「昔、俺らが住んでた時がどんなだったか、覚えてないけどよ。流石に酷いな、これ……。」

「ああ。同意見だよ……。」

「私も、流石に看過できない……。」

 僕らは、総じてこの景色に最悪の烙印を押した。

 しかし、僕の胸には響くものがあった。その正体は分からないけど、この景色に何とも言えない感情にさせられてしまっていた。

 そんな言語化できない感情に、僕はもどかしさを感じた。

 それから少し経って、司令官と紗南、隼人、そして母さんは、涼みたいなどの理由で屋内に戻っていった。