僕らは運命の意味を探していた。

彼らは一体どこでどんな調査を行なっていたのか。少々気になる所だが、まずは自分達優先で、一つでも痕跡を見つけないことには、何も見えてはこない。

 この暗闇の先にある真実を、突き止めるための第一歩を必ず見つけ出すために、僕らは尽力していく。

「何か収穫はあったか。」

「いいや、何一つ無かったよ・・・・・・。そっちは?」

「こっちも同じくだ。」

僕らは戻ると、歩き疲れた様に座り込む、三人の姿が目に入った。特に最初飛び出した司令塔の疲労感はとても隠しきれない程だった。

「どこに行ってたんだ? えっと……。」

 そういえば、僕は彼の名前を知らなかった。彼に手をはたかれてから、聞く機会が無くなってしまったのだ。

「ああ岩瀬俊也だ。さっきは自分の事で精一杯だったから、あんな事言っちまったけど……。」

 彼は決まり悪そうにそう言った。しかし僕は、彼の行動が常軌を逸脱しているものには感じなかった。

 僕が、この世界に数時間身を置いてみて分かった事は以上の点。

 ここはゲームマスターが作り上げた世界だという点、なぜかあき以外の記憶がない事、田舎という設定の下で僕らが存在している事。

 資料の中にあった『生徒は二十名』という十年以上前の記録が残っていた。

 しかしその後の記録はなく、恐らく過疎化が進んだために廃校になったのだろう。

 記憶に関してはみんなの話し合いを見ていれば大方予想は付く。

 ここで奇妙なのは、なぜあきだけに記憶があるのかと言う事。

 何かしらの共通した目的で集められているとしたら、一律で無くなっているはず。

 もしかして別の目的で?

 「……マー君、マー君ってば!」

 隣で僕を呼ぶあきの声が聞こえた。

「……ど、どうした?」

「どうした? ――じゃないよ。話聞いてた?」

「わっ悪い……。」

「本当っ、君ってそういうとこあれだよね……。」

 あれって何だよ、あれって。

 まあ何となく言いたいことは分かるけどさ、もう少し言い方あるだろ。

「んじゃ、もう一回言うぞ。」

「ごめんなさい……。」

「日暮れが近いから、あまり外には出ない方がいい。」

「それは何でなのさ。夜の方が見えてくる事もあるかもしれないじゃないか。」

 茶髪女子は今回も納得がいかない様子だった。
 
 しかし、今回は流石に俊也の意見に従ってもらうほかない。

 僕は茶髪女子の質問に答えるようにして、二人の議論に口を挟んだ。

「街灯が少なかったんでしょ。」

「よく分かったな。ああ、その通り。懐中電灯の無いこの状態で、夜間の外出は余りに危険だ。もしどこかであれに飲み込まれでもしたら、それこそ脱出の可能性が減るからな。」

 確かにその通りだ。いくら手掛かりが残っていても、この暗闇を一人でなんて無謀にも程がある。

 特にこの世界の仕組みやルールがいまいち判明していない現段階で、大胆な行動は命取りになりかねない。

 昼間にかき集めた情報で、判明した度にまた話し合えばいい。とりあえず今は焦らない事。これが一番だと、僕は思う。