ー3 years agoー

「ただいま!」

夜遅く、リオは帰ってきた。汚れた練習着が、練習の厳しさを表している
リビングに座っていた母親が、穏やかに迎えた

「おかえり、リオ。部活、どうだった?」
「うん、すっげーよかったよ。3年の引退試合に3番手として出ることになったんだ」
「すごいじゃない!」

どこにでもいるような、平穏な家庭の、優しい母親

「千里と美桜(みお)は?」
「2人とももう寝てるわ」
「へぇ……」

父親のことは、敢えて触れなかった
北条家は、今どき珍しい亭主関白
父親の言うことは絶対の北条家で、父親は一切の手伝いをしないのだ
娘達の学校生活について興味を持つこともなく、ただただ、酒、酒、酒

「夕飯食べる前にお風呂入っちゃいなさい」
「うん、ありがとう」