「どうして自分の好きだったことを、嫌いになっちゃダメなんだろうな。神崎」

ベンチに座っていた北条は、反対のベンチに座っている神崎に聞いた

「…僕は嫌いになれないよ。どんなことがあったとしても、僕は、バスケが好きだ」
「…アタシもそうだよ。どんなことがあったとしても、テニスが好きだ。だけど、戻る気にはなれないよ」
「…ねえ、北条さん」
「いいよ、昔みたいにリオで」
「それなら僕のことも名前で呼んでほしいな」
「あー、たしかに…」
「…リオ」
「なに、蓮」
「僕はバスケが好きだ。バスケをしてると、もう1人の自分になれる」
「もう1人の自分って、聞いたことないよ」
「例えだよ。自分の好きなことを