棗くんからは逃げられない

「あ…?」

「ゆう、実乃梨先輩泣かせたのか?」


いつもみたいに優しい声じゃなくて鋭い声


「っつぅ……」

「伊織……お前…」

「どうなんだって聞いてんだよ」


ぎゅ、

と、私を強く抱きしめ、問い詰める棗くん


「っ……なつ、めくんの、うそ、つき…!」

押し返して、荷物を持ち、岡田くんの手を引っ張る



「は……柴っ!え?」

「っ……ぅ…」


棗くんは追いかけてこなかった