棗くんからは逃げられない

「………」

「し、ば?」


「………」

「うえ!?柴、?どうした!?」

岡田くんは慌てるあまり、両手から荷物を落としてしまっていた


「ごめ、っ……」

困らせちゃダメだって思うのに、涙が溢れてきてとまらない


俯いて拭ってもとどめなく溢れてくる


「しばー、ぇっと……ドウシタラ……」

「っく………つっ…」

「んーーーと…」


岡田くんの困った声を聞きながら目を瞑ったら、引っ張られた


「っ……!」

「おい」

低い声も、ふわっと香った匂いも岡田くんのモノじゃない