棗くんからは逃げられない

別に不安になるようなことではない

と、自分に言い聞かせるのだが……


「ぁの…っ…」

「……なんですか」


ぅ…言い方が冷たい…


「あ…ぅ……ぁの…」

「だから、なんですかって」


面倒くさそうに返事をされ、チクリと刺されたような痛みを胸に感じた


「……っ…棗くんっ…」


怒ってる…?

と、言う言葉は続けられなかった


「っ…」

さっきまで不機嫌なオーラを出していた棗くんが私の腕を掴み、立ち止まっているのだ

暗くて表情は見えないけど……


「おこっ…「実乃梨先輩」」