棗くんからは逃げられない

「………あのっ…かえり、ませんか…?」

体を離し、そう呟くと目を輝かせた

 
「それ、一緒に帰ろうってお誘いですか?」

「違います」

「…即答…」

反射で出た言葉に“棗くん”が拗ねてしまったみたいだ


唇をとがらせ、膝から私を下ろし、部室を出て行った


薄暗さが増した部室に一人取り残され、首をかしげる





「…………」 

送ってくれてはいるがさっきから無言

違和感しかない


そんなに怒られちゃったかな……

そんな不安が顔を出す