棗くんからは逃げられない

「はぁ…癒される」

そして、耳元でそんな声が聞こえる


気づいたら、もう“棗くん”の腕の中でなすすべなく小さくなるばかり


「あの、僕本気ですよ?」

「っ……なに、がですか…」

「付き合ってって…」

耳元でわざとらしく囁かれ、身を捩る


「そんな……ことっ…」

「だから、実乃梨先輩のことよく知りたいんです」

「………~~~~」

めずらしい珍しい真面目な声に心臓がさっきからたくさんはねている



「なん……で…」

「先輩が好きだからですよ?」


そういわれても冗談にしか聞こえない