棗くんからは逃げられない


「ぅわ…」

「実乃梨先輩、お疲れ様です」

「っ……なっ……どうしたんですか…?」

部室の入り口から中を覗いていた“棗くん”


ずっと気づかなかった……


「いえ、先輩の無防備さに呆れていただけです」

「?」
 
その声はどこか不機嫌に聞こえる


少し乱暴な手つきでベンチに座った“棗くん”は、両手を広げた


それを首をかしげながら見ていると

「おいで」

と囁かれた



ぉ…いで……?………!?!?

その言葉を理解し、何度も首を横に振る