棗くんからは逃げられない

「ちょっ…離れっ…」

「名前で呼んでくださいよ」

腕をひかれたと思ったら、人のいないところへ連れ込まれた

視界の端にうつったのは、部長さんを突き飛ばす琴羽

────の、真っ赤な顔



「っ……ちかっ…」

「近づいてるんです」

真顔の棗くん


か、かべどっ………


「呼んで、先輩、」

「っ……む、り…」

俯いて声を絞り出す