棗くんからは逃げられない

「やっぱり、顔真っ赤ですね」

「っ……からかわないでください!」


「すみません、実乃梨先輩が可愛かったので」

「ぁぅ……」



「ぁっ、そうだ棗くん」

顔の熱が冷めた頃、棗くんを見上げる


なんですか?

と、首をかしげる棗くんに制服からチェーンを引っ張り出す


「これ、返し忘れちゃったので」

「あ、あの時のですね…」

「はい………っ…耳、痛いですか?」

「先輩のおかげで痛くないですよー」


ガーゼや絆創膏は貼られていないけど痛々しくかさぶたになっている

くっついていることに安堵する一方で痛そうな傷に胸が痛む