棗くんからは逃げられない

彼女は実乃梨先輩です

と、言わんばかりの笑顔と口調


そう思ってしまったことが恥ずかしくて俯く


「実は、幼なじみです」

「幼なじみ、?」

「はい」



「っ……」
 
「あいつ、年の近い兄貴と仲良いせいか僕とも距離近いんです」

私の心を先に読んでことごとく聞きたいことを答えてくれる


「………そ、っか…」

「……ふふ、嫉妬してたんですか?だから泣きそうになってた」

「っ…!!」

「可愛いですね」

 首をかしげて私の顔をのぞき込み、目を細めて笑う棗くん