棗くんからは逃げられない



「じゃあ、」


ぎゅぅぅ。


目いっぱい抱きしめられて────

 
「僕と付き合ってください」

何度目かの告白


「~~っ……は、い」

小さく頷いた


「やった…」

心底嬉しそうに聞こえる声に私も頬が緩む


「実乃梨先輩、めっちゃ好きです、すごーく好きです」

「なぁ……っ…」

「ねぇ、先輩」

「はぃっ…」


首に髪がかかるくすぐったさを堪えながら声を出す