気付いた気持ち

◇◇◇


『ほら、だから言ったじゃん』


電話越しに、親友の呆れた声が聞こえてくる。


『唯織くんのあの容姿でモテないわけがないでしょうが。バカね、あんたは』


「だって、唯織に彼女が出来るなんて思ってなかったんだもん…。ねーちゃん、予想できた?」


ねーちゃん、こと小倉寧音(おぐらねおん)。


私とも唯織とも小学校から同じで、高校は別になってしまったものの、こうして定期的に連絡を取り合っている。


『そりゃあね。中学で彼女がいなかったのが逆に奇跡よ』


「そうなのかぁ…」