「せっかくだから、お前も食う?」 唯織の方はというと、特にかわった様子もなくいつもどおりだ。 なんだか、私だけドキドキしてるみたい。 それが悔しくて、ふいと目をそらした。 「……え、やなの?」 ……違うよ。 鈍感な彼に少々の苛立ちを覚える。 けれど、それよりはるかに幸せな気持ちの方が大きい。 「いや、食べる」 困ったように眉を寄せる唯織に、微笑んで言う。