「……え、だって、唯織は東雲さんが好きで……っ」


溢れる涙を、唯織が優しく拭う。


「俺が好きなのは、翼羽だよ。伝えるのが遅くなって、ごめん」


……どうして、と声に出す前にもう1度強く抱きしめられる。



「気付いたんだ。俺には翼羽が必要だって。隣にいてほしいのは、一緒にいて楽しいのは翼羽なんだって」



一度身体を離した唯織は、ふ、と静かに息を吐き出して私を見つめた。



「───…俺と、付き合ってください」



低くて、けれどどこか安心する声にコクコクと頷く。



彼の耳に届くように、涙でぐちゃぐちゃの顔をあげた。



「──はい」



静寂が私たちを包み込んでいる。


ふわり、と舞い降りてくる雪の花びらたちは、私たちを静かに祝福していた。



*--END--*