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涙で顔がボロボロのまま帰るわけにもいかず、帰り道の途中にある公園のブランコに腰かける。


鞄の中を覗き、綺麗にラッピングされたガトーショコラを取り出した。


貰ってくれる相手がいなくなったガトーショコラを見ていると、なんだかまた切なさが込み上げてきて、泣きそうになるのを慌ててこらえる。


ラッピングを丁寧にとり、ガトーショコラを手に取った。


……頑張って作ったのにな。



想いを込めたガトーショコラを口にしようとしたその時。


「翼羽!」


どこからか、私を呼ぶ声が聞こえた。