その答えは、実に彼らしい答えだった。
付き合っている間、大切にされているのは分かるし、寄り添おうとしてくれているのも分かる。
だけど、彼の気持ちが私に向いていないのは、付き合ったその日から。
……いや、告白する前から気付いていた。
「蘭さんとは、一緒にいて楽しい。だから、好きなんだと思います。でも、この好きが蘭さんが僕に向けてくれる好きと同じかは分からない……」
困ったように顔をしかめるいっちゃん。
───だったら。
おもむろにいっちゃんに顔を寄せた。
彼女としてのプライドと、ほんの少しの淡い期待。
そのまま彼の唇に自分の唇を近付けた。