空いていたソファーに腰かける。


放課後の図書室は人がいなくて、まるで二人きりの世界かのような錯覚を起こさせる。


私は意を決していっちゃんに向き直った。


「いっちゃん」


「…はい」


僅かに眉を寄せるいっちゃんに、できるだけ明るい声音で問いかける。


「私のこと……好き?」


いっちゃんは何も言わない。


二人の間に沈黙が落ち、時計の秒針だけが聞こえてくる。


いっちゃんは静かに目を伏せたあと、重たげに口を開いた。


「……分からない」