突然の報告

◇◇◇


「俺、東雲(しののめ)さんと付き合うことになった」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。


嫌な汗がつうとこめかみを伝うのと同時に、心臓の音が身体中に響き渡る。


ただ、唯織の言葉が頭の中をぐるぐると回って消えてゆく。



「……え、しのの…えっ?」



聞き違いだよね。

きっと、私は疲れているだけだよね?


困惑する私に、唯織がもう一度はっきりと口にする。


「2組の東雲蘭(しののめらん)さん。コクられたから、付き合うことにする」



聞き間違いではなかった。


やっぱり、耳はしっかりと音を拾ってくれていたのだ。



───唯織が、東雲さんと付き合う?


なんで、どうして。

特に交流なんてなかったじゃない。


それとも、私が知らなかっただけ?



「ちょ、ちょっと待ってよ。好きなの?東雲さんのこと」


私の質問に、唯織がわずかに眉を寄せた。



「いや、今はまだ。とりあえず付き合ってみる。それから好きになるかもしれねーし」


……そんな。