◇◇◇

「へぇ、いっちゃんに告白を」

「やっぱり、彼女であるあなたに言わないといけないと思って」


東雲さんは髪の毛先をくるんと巻いた。


「言ったところで、どうするの？私がダメって言ったらやめるわけ？」


東雲さんはにやりと笑った。


「え…っと」


確かに、ダメだって言われた場合を考えていなかった。


東雲さんから許可が降りなかったら、想いを伝えることすら出来ないのかもしれない。


だんだんと青くなっていく私を見て、東雲さんは不敵に笑った。


「別に、ダメだなんて言わないわよ。まぁ、いっちゃんがどちらを選ぶのかは、いっちゃん次第だからね。結果はわかってるかも知れないけど」


ふふん、と笑いながら、東雲さんは遠巻きに見ていたグループのところに戻っていった。


姿が見えなくなってから、長いため息をつく。


「はあ……怖かったぁ」


突然の宣戦布告にも動じずに、余裕そうに笑う東雲さんを思い出す。


なんというか、レベルが違う。


あれが女王東雲蘭か、と脳にインプントする。


あの言い方は、唯織に告白することを許してくれたということだろう。


まぁ、みすみす負けることはない、といった表情だったけれど。


でもこれで、唯織にまっすぐ告白できる。


唯織にチョコを渡して、告白するんだ──。