バレンタインデー
◇◇◇
「いっちゃーん!」
いつもどおり東雲さんの声を聞きながら、玄関でローファーを履いた。
鞄の中に昨日作ったガトーショコラが入っていることをもう一度確認して、丁寧に鞄を閉める。
「よし」
チョコの準備はこれでオーケー。
あとは学校で唯織に渡すだけ。
それで、渡してから……ついに告白だ。
自分の気持ちを唯織にしっかり伝えなきゃ。
それがたとえ、良い結果にならなくても。
伝えないまま苦しむより、私はそっちの方がいい。
でも……。
───唯織に告白する前に、やらなきゃいけないことがある。