二人で帰る、帰り道
◇◇◇
「うう……寒っ」
吐く息が白い。
凍てつくような寒さに、思わず肩を震わせた。
こんなに寒くなるのなら、手袋をはめてくれば良かった。
朝はそこまで寒くなかったから、今日は手袋をしてこなかった。
今朝の自分の判断を悔やむ。
冬は日がおちるのがはやくて、まだ6時半なのにもう空は真っ暗だ。
街灯が足元を照らしてくれるので、下を向きながら歩を進める。
「……寂し、」
溢れた呟きは暗い空にとけていって消える。
「おい」
ふと声がかかった気がして視線をあげる。
いや、ないない。
さすがにありえないよそれは。
恋焦がれすぎて、ついには幻聴まで聴くようになってしまったのか。