「体育倉庫をラブホ代わりにすんじゃねぇぞ?」
「………」
違うけど返す言葉もありません。吉田もそうなのか何も言わなかった。
「すっかり日が暮れちまったな。授業も終わってるし……」
「……うん」
ホント今日は疲れた。
「みかちゃん。俺等つき合っとく?」
別れ際に吉田がヘラッと口を開いた。
「間に合ってます!!」
「処女が間に合ってんのかよ」
吉田は馬鹿にしたように笑う。
「うるさい!」
ホントばかじゃないの?
たいして話した事ないのに。
たいして関わった事ないのに。
たまたま今日良い雰囲気になったからって、お手軽な感じにヘラヘラして"つき合おうか"なんてテキトーな事言っちゃってさ。
でもこの日は全く眠れなくて、夜の間ずっとドキドキしてた。
触れる事のなかった吉田の唇の柔かさを想像して……。
明日からあいつとどんな顔して会えばいいのか、考えながら──。