「中村、お前この荷物体育倉庫まで運んどけ」


目の前にいる体育教師が、段ボールの箱を指差してそう口にした。


「えー、私が!?」

「他に誰がいるんだ?お前、体育委員だろ」



私、中村みか17歳。
いたって普通の高校2年生。


せっかくの昼休みなのに、雑用の呼び出しがかかった。
もう1人の委員は逃げたのか教室にいなくて、面倒臭いと思いながらもきたのに。

なんで、私が荷物運びなんかをしなきゃいけないのよ。と、頬を膨らませる。



「私か弱い女子なのにー!」

「はいはい、頑張って」

文句を言ったところで、斉藤は手をひらひらと振るだけ。
ちょっと若いからって、少し一部の女子に騒がれてるからって、女の子を雑用に使うなんてあり得ないと思う。


理不尽な思いを抱きながらも、基本真面目な私はこの斉藤先生のいうことを聞くしかない。



箱の中身は体育祭で使用したハチマキやらタスキやらが詰まっているらしくて。
そんな段ボールを必死に運んでしまうのが悲しいやら何やら。