一瞬、部屋に入ってきた人物がわたしだということを忘れる。

髪は今よりも伸びていて腰辺りまであり、ところどころ絡まっている。
着ている服がブカブカになるほど痩せた体。
その細い腕が露わになる。

──‼︎

ずれ落ちた袖から見えた手首には、無数の切り傷があった。
あまりの変貌ぶりに言葉が出ない。

『キミは、もう一度受験しようと頑張っていたんだ。
そのかいあって無事に合格することができた』

そこで言葉を区切ったニコラ。
そのあとに続く言葉は、衝撃すぎるものだった。