御札

これは大学生のAさんがサークル合宿で体験した話。

僕はテニスサークルに参加していました。

世間で言うやりサーではなく、しっかりと大会で優勝を狙うためのガチめなサークルでした。

そのサークルで夏に強化合宿があり、僕も行くことにしました。

場所は軽井沢で夏でも過ごしやすいコテージでした。

そこで昼はテニスに励み、夜は飲み会。

飲み会と言っても軽い懇親会みたいなものでした。

それでも僕はお酒が弱いのですぐベットに横になりました。

部屋は二人部屋で先輩と一緒でした。

2時間位で目が覚めました。

ふと先輩のベットをみると先輩の上に誰かが乗っていました。

髪の長い女性のように見えますが、暗がりの中で薄っすらとしたシルエットしかわかりませんでした。

うわ、隣に僕がいるのに何してるんだ。

驚きました。先輩はそんな感じの人には見えなかったので。

気まずいが起きるわけにもいかないしと反対に寝返りを打ち、悶々としていました。

が、ふとおかしなことに気づきました。確かに合宿には女子もいますが皆テニスに邪魔だからとショートヘアでした。

それにもしそういうことをしていたのなら、少なからずベットの軋みや声が聞こえるはずです。

ですが隣からは先輩のかすかな寝息しか聞こえませんでした。

僕は寝ているふりをして再度寝返り打ちました。

そして、薄目を開けて見てみると女は上に跨るように乗っていますが目が慣れてきてわかりました。

女越しに壁が透けて見えるのです。そして女はこっちを見ていました。

僕はぎゅっと目をつぶりそのまま朝になりました。

翌日先輩は気分が悪いと言って合宿途中で帰ってしまいました。

僕はその日の夜、先輩のベットを確認しました。

すると、ベットの頭の所に剥がれた御札が1枚落ちていました。

僕は自分が寝ていたベットも確認しました。

頭の所、端に同じ御札が貼ってありました。