「あはは…」





それは監督が無理して朝からランニングして腰を痛めたからですよ。





お医者さんからはまだ安静にって言われてたのに。






「身体動かせないのは暇じゃの〜。小鳥遊ちゃんわしの話に付き合ってくれんかの?」






「いいですよ。少しの時間なら」







「ふぉっふぉっふぉ。やっぱり小鳥遊ちゃんは優しいの〜。…小鳥遊ちゃんは稲葉のメニュー見てどう思った?」






私が気になっていたこと…!もしかして監督はメニューを見ていた私の様子が変で辛くても話をしようと。





「基礎の体力トレーニングが多いなと思いました。一年生だから体力も基礎も大事なのは分かるんですけど、これは普通より多いかなって」





下手をしたらオーバーワークになりかねない。それくらい監督は分かっているはずなのに。





「ふぉっふぉっふぉ、さすがじゃの〜。稲葉はな、中学時代はとても強い選手だったんじゃが、最後の試合の時にケガをしたんじゃ。それからリハビリを続けてある程度まで動けるようになったんだが、今でもそれを引きずって足腰に力がまるで入っておらん。だからいつ試合に出てもいいように、足腰だけは万全にしたいんじゃ。技術は完璧だからあとは本人の気持ち次第なんじゃよ」