【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい

先輩たちは受験に大忙しだけど、時々息抜きをするために1年、2年のサポートをしてくれています。




千田先輩も来てくれて、試合のデータを一緒に見たり、井口先輩との関係について根掘り葉掘りと恋バナをすることも増えました。





来る度にケンカをしているけど、2人はとても幸せそうです。





ついでに私まで根掘り葉掘り聞かれるけどね。あははは……。






秋になって涼しい風が吹く季節となった。





体育館を出た渉は外の水道で頭から水を浴びて汗を流していた。





「渉」




「雅か」





タオルを渡して稲葉の隣に立つ雅。




入部当時から変わらない渉のサポートというより、お世話。何度このやり取りをしたことか。





そんな渉はまだ、その試合のことを引きづっている。






「あの試合は俺のミスで負けた。今思い出しても自分に腹が立つ」






そう、あの試合は渉がスパイクを放った時にアウトになったのが試合の分岐点となってしまった。







井口先輩と一緒に決勝まで練習してきた連携をそれで崩してしまった責任はとても大きく、しばらく渉を苦しめていた。




水道の前にある、グラウンドの丘に座り2人で風に当たりながら再び当時のことを振り返った。




「渉は十分頑張ったよ。井口先輩だってそう言ってくれたじゃない」