「だからこそ、許せねーんだよな」




後ろから腕を回して雅の肩を抱いた稲葉は水谷をそのまま睨みつけて言った。





「人の悪口しか言えないような男が俺の雅に近づくんじゃねー!次、雅を悲しませることがあったら俺はお前を許さねーからな!!」






その言葉が何よりも嬉しくて、怖かった気持ちも無くなっていった。





「行こう稲葉くん」





「おう」




呆然として見ていた人たちのことはもう忘れていた。今は稲葉くんだけを見ていたい。





近くにいたい。他のことなんてどうでもよくなっていた。