明日が終わる、その時まで【完】



1時間目が終わった後の5分休みの間に、亜美(あみ)ちゃんと梨花(りか)ちゃんが真っ先に柴田くんに声をかけたの。

二人が怖いもの知らずなだけで、他の女の子も、男の子だって私みたいに怖気づいて話しかけるなんてできるような状態じゃなかった。

だって、柴田くんからはとてもじゃないけど友好的な空気を感じなかったから。


むしろその逆で……。


「柴田くん、その髪って地毛? かっこいいね~」

「ピアス何個つけてるのー? 柴田くんってさー、不良なの? キャハハハハ」

「……」


亜美ちゃんと梨花ちゃんが何を聞いても柴田くんは反応を示さなかった。

そうこうしている間に、


「おおー! すげーな転校生! さっそく女子にモテモテじゃねえか。でもよぉ、新入りのくせにちょっと目立ちすぎじゃねーの?」


柴田くんをからかうように楠田(くすだ)くんもやってきた。

晶ちゃんは楠田くんと同じクラスになったことがないから知らないと思うけど、楠田くんてね、体も大きくてちょっと乱暴なところがある子なんだ。

女子に対してはそうでもないんだけど、男子の中ではリーダーみたいな存在だった。


からかい半分、場を和ませたい半分という感じで、楠田くんは柴田くんの背中をバシッと強く叩いた。

だけど、どう見ても和やかとは正反対の雰囲気を見ていられなくて、思わず私は目を逸らした。