「……ごめん」
切ない瞳が私を見つめる。
「どうして柴田が謝るの?」
柴田が謝ることなんて、なにもないよ。
柴田は首を横に振る。
「……俺が、母さんの話したり……ばあちゃんのとこに行ったり……お前のこと何もしらねえで、俺、無神経なことばっかりしてたよな」
「そんなこと、ないよ」
今度は私が首を横に振る。
「ごめん。ごめんな……ごめん、佐野」
それでも柴田は私に謝る。
自分の行動を悔いるように謝る。
「……そんなことない。そんなことないっ」
むしろその逆だよ。
柴田を通してお母さんと、そしておばあちゃんにも触れたことで……私、〈お母さん〉の強さを知ることができた。
愛する子どもの存在が、お母さんの力になるってこと。
もがいて、苦しんで、苦しんで、辛くても。
子どもへの思いが、今日を、そして明日を生きる〈命〉へと繋がっていることを。
柴田を通して、感じることができた。
この目でしっかりと、見ることができた。
柴田と出会えたことで、前よりももっと、もっともっと、ママに〈ありがとう〉って気持ちが強くなったんだよ。
「私は、柴田に出会えて嬉しいよ」
「……」
「柴田と関わってから、もっと自分を大切にしなきゃって思えた。ママが愛してくれた自分をもっと大事に思わなきゃって、前よりも思うことができたから」
「……」
「だから、ごめんなんて言わないで。後悔なんてしないで……柴っ」
そこで、私の言葉は途切れた。
