「柴田、私ブラシ戻してくる」
「後でいいだろ」
「だけど、この霊園のものじゃなかったら困るし。すぐ戻ってくるから」
私はブラシが置いてあった蛇口のそばまで戻った。
だって、手桶の中には油性ペンで名字が書いているものもあるし、この霊園で保管しているだけで、このブラシもこのお墓に眠っている人の家族のものかもしれない。
他の人のものを許可なく使うなんて、場所が場所だしちょっと抵抗がある。
それに、もしもブラシの持ち主の人が同じタイミングでここに来たら、困るだろうから。
そう思って、元々あった場所にブラシを戻そうとした時だった。
「……なにを、しているの?」
