明日が終わる、その時まで【完】




霊園にはたくさんのお墓が列をつくって並んでいる。

墓石は、グレーのものが一番多いけど、黒いものもあれば、赤いレンガのような色のものもある。

花立(はなたて)には、みずみずしいお花が入っているお墓もあれば、しなびていたり完全に枯れていたりするお花が入ったままのお墓もある。



「ここだ」



どうやら、お母さんのお墓に着いたようだ。

案内されたグレーのお墓には〈柴田家之墓〉と彫られてあった。


ここが柴田のお母さんと、柴田のご先祖さまが眠るお墓。

そう考えると、急に身が引き締まる。


柴田は手桶を下ろすと、「父さん、もう来てたんだな」とつぶやいた。


見ると、柴田家のお墓の花立にはすでにみずみずしいお花が(そな)えられてあった。

そこにあったのは仏花(ぶっか)ではなく、ピンクのカーネーションや白いバラといった、まるで花束のようなお花たち。


だけど、どうして柴田はこのお花がお父さんの供えたお花だと分かったのだろう。


お母さんの命日なら、お母さんの親や親せき、もしくは友達がお参りにきていた可能性だって考えられるのに……。


私の頭に浮かぶ疑問を読み取ったのか、まだ聞いていないのに、柴田はその理由を教えてくれた。



「……ピンクのカーネーションあるだろ。母さんが一番好きな花なんだ」

「えっ、そうだったんだ」

「だから、母の日も結婚記念日も誕生日も、親父は馬鹿みたいにピンクのカーネーションを母さんに贈ってたんだ」


あの強面のお父さんが? ちょっと想像できない。


「お墓も、綺麗だね」


磨く気満々でブラシを持ってきたけど、全く必要ないほどお墓はピカピカで、周辺も小さな雑草一つ生えていなかった。