バレンタイン前日、遥と店長は試作を続けてきたが、遂に完成させた。

「…明日のシフトなんだけど…」と店長が言うと、ツカサ、遥と綾斗全員inだった。

遥の耳元でコソッと「頑張れよ」と店長に言われて、顔を真っ赤にしている遥

ヤキモチ妬いて機嫌を損ねてる綾斗。

「今年は何個だろー」と呑気なことを言っているツカサに空気が少しだけ和んだ。

翌日、バレンタインデーを迎えた。

カップルたちも多く、ありがたいことに、お店は大盛況で、皆大忙しだった。

ランチも終わり、ブレイクタイムの時間も過ぎて、少し落ち着いてきた頃、ツカサは相変わらずの人気で連絡先を渡されたり、チョコを貰ったりしていた。

そんな光景を相変わらずモテるなぁと皆で眺めていた。

遥は準備したチョコを店長に渡した。

『いつもお世話になってます』と。

店長は嬉しそうに、

「こちらこそ、いつもありがとう。こんなことしてくれるの…遥ちゃんくらいだよ。こんなオヤジにまでくれるんだから!ホントにありがとう」と大事そうにチョコを抱き締めていた。

それ見て遥も少し微笑んだ。

「…俺のは…」と綾斗が言いかけた時、

「店長ずりぃ。俺のチョコは無いの?遥~」と
ツカサが乱入してきた。

「ありません!」と遥は言ってそっぽを向いた。

そして、奥へと入っていく遥

「俺、なんかまずった?」と店長に聞いているツカサ。

「少しは女の子の気持ち考えたら?デリカシー無さすぎるよ?一生懸命用意したもの、あんなチャラく受け取られたら渡す気も失くすでしょ」と店長に言われて、

「ごめん」と謝るツカサ。

「謝る相手違うでしょ!」と店長に言われて、ツカサは慌てて奥に入っていく。

「ふー、手間のかかるやつ」と店長は呟
く。

「あー、綾斗くんはもう帰って良いよー。もうすぐ終わるし。せっかくのバレンタインなんだからデートでもしな~」と店長は言って綾斗を帰らせようとした。

「あ、はい!ありがとうございます」と綾斗は言って奥に入ろうとしたが、足は止まってしまった。

泣いてる遥とオドオドしながらも励まそうとしているツカサの姿が見えたからだ。

「チョコじゃなくてすいません。けど、先輩のために一生懸命用意したのでこれ、受け取って貰えませんか?」と遥は言った。

そして、押しつけるように、遥はツカサに渡した。

「…中見て良いの?」とツカサは言う。

頷く遥。

「…これって…コーヒー豆?」とツカサが言う。

そこで店長が入ってきて、

「あー、ツカサ、遥ちゃん泣かしちゃったの?遥ちゃん大丈夫?もうすぐ終わるし、帰って良いよー。後は、オヤジ2人でやっとくし。せっかくのバレンタインだからさ!せっかく頑張ったんだし、ちゃんと気持ち伝えなね!」と言って持ち場に戻って行った。

「…あ、じゃあ俺も行くわ」とツカサは言った。

「先輩、帰りましょー」と綾斗が言って

遥と綾斗は一緒にcafeを出た。