そんな遥が2年目を迎えようとしたとき、

遥の高校の後輩の男子、綾斗がバイトとして現れた。

動機は遥のことが好きすぎてという単純すぎるものだったが。

店長は青春って良いねぇ~と良いながら、軽く受け入れた。

それから遥のシフトと綾斗のシフトは被ることが多くなった。

もちろん同じ学校だからというのもあるが、何より、2人の温度差を店長が楽しんでいるからだ。

学校でも綾斗は遥にベッタリで休み時間は必ず会いに来る。

それに対して塩対応の遥

周りがあまりにも可哀想じゃないかと言っちゃうくらいだった。

お昼も必ずと言って良いほど2人で食べていて、もちろん、帰りは一緒に帰る。

バイトの日は一緒にバイトに行って、綾斗に送って貰って帰る。

それがほとんど当たり前になっていて、

遥もやっと、少し綾斗に打ち解けてきて、仲良くなっていた。

シフトが重ならないと寂しささえ感じるようになっていた。

そんな遥を見て、店長が、車で家まで送ってくれるようになった。

二人きりの車内で、店長に遥はつい、本音を言ってしまった。

それをきっかけに店長は協力すると張り切ってしまった。

もうすぐバレンタインを迎える。

ツカサはもうすぐバレンタインだと喜んでいた。

スタッフやお客さんからたくさんチョコを貰うらしく、ドキドキしながら楽しみにしているらしい。

遥は店長にバレンタインの相談していた。

店長に教わりながら何度も試作を重ねた。

バイトの帰り道、いつものように綾斗は遥を送るのだが、少し機嫌が悪い。

「何かあったの?」と遥が言うと、

「…」と無言。そして少しして、

「先輩はバレンタイン誰にあげるんですか?」と唐突に聞かれてしまい、

戸惑う遥

「もちろん俺の分ありますよね?」と上目遣いで圧をかけてくる。

「…どうだろ…店長には渡すつもりだけど…」と遥が言うと、

「なんでですか?俺じゃダメ?先輩の手作りは俺だけにして下さい!」と綾斗は怒りながら、ふてぶてしそうに前を歩く。

「もぉ、待って!置いてかないで!」と遥は言って歩幅を合わせた。