零度の華 Ⅲ




ザワザワと背中越しで感じるも、あたしは振り向くことは一切しない


「さすが殺し屋零(ゼロ)だね。今のこの状況を把握していながらも、余裕だというのかい。いや、現状を理解できなくて、或いは捕まったことすら認めたくなくて目を背けているだけか?」


挑発されるもあたしは一言も返すことはない



「まぁ、いいよ。君の罪は重罪だ。多くの人の命を奪い、世界を騒がせ、警察を弄び過ぎた。君がどんな生い立ちをしてきたかやどんな理由があったかなんて関係はない。忘れるな。君の存在は"悪"であることを」




1つの足音がだんだん通り過ぎ去って行くと、ゾロゾロと多くの足音が遠ざかっていく

その音を聞けば帰って行ったのだと分かる



『ふぅ』


あたしは寝返りを打つと天井と向き合う



"あたしの存在が悪"ならば窃盗や痴漢など人を殺さない犯罪であれば目をつぶるとでもいうのか?

これまで殺人以外でしてきた違法行為はなかったことにでもしてくれるのだろうか?



警察の奴等はあたしが"殺し屋"であるから、殺人のイメージが強く印象づいている

それは警察だけじゃなくて世間の奴等も一緒だ


まぁ、どんな意味を込めて鷹見が言ったのかは分からないが、何故存在自体を否定されなければならない