零度の華 Ⅲ




確かに、遠藤の言う通り、犯罪者の言うことなんざ信じられるものではない

ましてや、あたしは殺し屋零(ゼロ)


何百、何千、何万人と騙し欺き、殺してきた

今更、信じてくれと言って信じてくれるなんて都合のいいことがあるわけじゃない



でも、賭けてみる価値があると思ったから話をしている

あたしが持つ情報と警察が持つ情報とは十も百も違ってくる


犯罪者の思考を分かっているのも犯罪者だけだ

同業者なら尚更



『あたしを使ってみろよ。文句なんて言わず、こき使われてやるからよ』


「…どういう風の吹き回しだ?」


『もう殺しは出来ずにあたしは死ぬ。だったら、世の中で言う"良い事"を少しでもして死んでやるってことだ』


「散々人の命を何も思わず、弄び、奪ってきたお前が"良い事"だと?少しは報われるってか?舐めるのも大概にしろよ!」



さっきから怒鳴り散らしてくる遠藤に腹が立ち、睨みつける

理解できない、受け入れたくないといった感情が表に出ているのはすぐに分かる


でも、あたしが話しているは鷹見のつもりなのにいちいち話に入ってこられては進む話も進まない



あたしは苛々しながら遠藤に言う




『うるせーな。お前の言う通り、あたしは人の命を奪ってきた。あたしは世間一般でいう"まとも"な育ちをしてない。あたしは生まれて捨てられ、拾われ一番初めに教わったのが自分を守り、金を稼ぐための"生き抜く方法"として殺しだった。殺し屋になるように育てられた』


少し話を偽っているが、まぁ大方は合っている

生き抜くために自ら選択をしたのが殺しだが、あそこでの選択は全て闇でしか生きられぬ選択だった