意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!




「……どうしていいか、迷う」

「何に? 」


さっと色づいただろう耳が恥ずかしくて、尋ねたタイミングで少し身を捩る。


「それ、可愛くて。着たままそうなってくれてるのもエロくて可愛いし、でも一刻も早く脱がしちゃいたい衝動もあるし」


だぼっとしてるはずなのに、二点(・・)引っ掛かった服は、何も着ないより私がドキドキしてるのを陽太くんに教えてしまう。


「……も、もう……し、仕方ないじゃ……」

「うん。俺はね。輝といたら、こうなって仕方ない。それが輝も同じってことが、すごく嬉し……」


もっと、からかってくれたらよかったのに。
そこで、そんなことを素直に喜ばれてしまうと、私はますます照れて恥ずかしがることしかできなくなる。


「昔もさ、輝、よく俺に他の子とも遊んでおいでって言って、俺が違うやつのとこに行ったら、そんな顔してた」

「そ、そうだっけ」


思い出話と、今してることのギャップが激しすぎて、返事すら覚束ない。


「うん。俺の為に自分から言ったのに、寂しそうな顔が可愛くて……輝も俺を必要としてくれるんだって嬉しくて。俺、輝の言うこと聞いて、ちょっとだけ別のとこ行って。またすぐ輝のとこに帰ってた」

「な、なにそれ……」


あの小さくて可愛い「ひな」が、既にそんな確信犯だったとは。
声が裏返ったのは、普通にびっくりしたのと。


「ごめんね。だって、すごく可愛いんだもん。泣きながら駆け寄ってくる俺に、“もー”って言って、笑顔でぎゅってしてくれるの。……可愛い……」


本当にどうしようか迷ってるみたいに、服を脱がすことなく、いつの間にか入り込んだ手が肌を行き来してるせいと。
最後の「可愛い」は、昔話にしては声が色っぽすぎて、余計に身体が反応するのに忙しくて、他のことができなくなる。


「ね……俺の夢、叶えてくれる? 」


ついに。
耳元で聞こえたのが、最後の同意確認――俯いてこくんと頷くと、陽太くんは「やった」ってにっこり――いや、にんまりした。


「ちょっ……!? 」


ふわりと――思ったよりふわりと横抱きにされ、そんなの聞いてないと主張したけど。


「夢だったんだよね。輝をお姫様抱っこ。……あれ、何か思ったのと違った? 」


どれにも強く言い返せない。
さっき首を縦にしたのは、何に対しての承諾だったのか。
違うと言うなら、どうして首に腕を回したりするのか。


「……合ってるよ。これね、続き、あるから」


黙ったままの私の頬にそっとキスして、ゆっくりとそこまで歩いて――抱き上げた時よりももっと、ふんわりと降ろしてくれた。


「……叶えていい? 輝……」


ベッドの上、ちょこん。
見下ろされると緊張して我慢できなくて、まだ立ったままの陽太くんの方に手を伸ばした。