俺、結城 颯は今人生最大のピンチである。
「は?マジで何言ってんの。」
「だから、アンタが陽菜の筆箱盗ったんでしょ?」
クラスメイトの1人が突然そう言ってきたのだ。勿論人の物を盗んだ覚えはない。
「知らねぇって、違うやつが盗んだか、どこかに置いてきたかだろ。」
そう言って立ち去ろうとすると、
「何!?アンタ逃げる気!?」
また叫ばれた。
金切り声をずっとあげるものだから教室の周りに人がどんどん集まって来る。
すると、その中の1人が
「美咲っ!あったよ~!!」
と、言いながらこちらへ向かってきた。
「陽菜?え…嘘あったの?」
こちらの女子も驚いている。
「え、まさかその人に…」
「ご、ごめん陽菜ぁ!」
「謝る人が違うでしょ?」
「す、すいませんでした。」
「別に俺は…盗人にされなくて良かったし。」