私が怜也くんのファンじゃなければ、違った未来があったかもしれないのに。



「そんな顔しないで……? もちろんさとみさんの顔は隠れるし、俺がファンがいるって分かっていてもあの場に出ていったのがいけないのだから。それに、手を繋いだのは俺の意思だ」



 怜也くんはゆっくりと私の手を包み込んで安心させるように見つめてくる。



「さとみさんに迷惑は絶対にかからないようにするから」



 そうは言っても、その顔に自信があるようには見えない。

 それにもし、ここが特定されてしまったら? もしかしたらすでに特定されているかもしれない。


 そこまで記事になることはないだろうけれど、レイヤくんのファンにバレたら大変なことになる。

 それに、もし私が何も知らないファンの立場だったら、レイヤくんがファンと一緒に住んでいるなんて知ったら絶対に嫌だ。



「ねぇ、怜也くん……」